保育園のあるコワーキングスペースつなぐ
Preschool and Coworking Office in Gotan'no
Category: Preschool, Office
Photo: Ioto Yamaguchi
作品の概要:
住宅と商店が混在する地域にある、保育園を併設したコワーキングスペース。両施設の利用者と、保育士や調理師など、運営者も交えて、大勢で食卓を囲めるなど、単に相互の機能を補完し合うだけの関係ではなく、子育て世代をつなぐハブの役割を担うと共に、多様なワークスタイルに対応する施設。孤育てを解消し、大人も子供も、主役になれる場所。
課題の着眼点:
在宅勤務の自営業やフリーランスは、保育園入園の優先順位が低くなることがある。母親になり、社会参加が難しいと感じ、孤独や子育てに悩むことが、未だ多いのが実情。子供が遊べる公園、小児科医院や、スーパーマーケットが徒歩圏内に充実している地域を選び、育児と仕事を両立するための環境向上と、子育て世代と、地域との交流を促進することで、孤立した中で育児を行う孤育ての解消を目的とした、企業主導型保育園を併用したコワーキングスペース。
課題へのアプローチ:
子育て世代に必要な、授乳室やオムツ替えシート、キッズルームを完備。孤食を減らす、大勢で囲める食卓や、共同キッチンを設置。給食調理師のお総菜を販売し、家事負担を低減。保護者同士が繋がり、孤立感を解消できるイベント。これら様々なアクティビティが、同時多発的に行えるよう、緩やかに空間を分節。幼児が触れる壁の下部は、木目を活かした自然な仕上げ、使用頻度の高い壁面は、ホワイトボードや、プロジェクター投影面などの機能的な仕上げ。
実績・ユーザーの評価・エビデンス:
一時保育に空きがあれば保育園に子供を預けて仕事ができる。保育園が満員の場合でも、キッズスペースで子供を見守りながら仕事ができる。保育園の調理師が提供するランチは、子供も安心して食べられる。可動間仕切りが利用できるので、執務利用者がいても、気兼ねなくイベントが開催できる。初めて親子でイベントに参加したが、他の参加者と自然に交流ができる。働く人や社会と、母親や子供をつなげるよう運営している。などの、ご意見を頂戴している。
キッズデザイン賞・審査委員コメント:
育児と仕事を両立するための環境づくりや、子育て層と地域の交流の促進など、育児の孤立化を防ぎつつ、仕事ができる空間をソフト面の運用も含め、高いレベルでデザインしている。壁面や家具のテイスト、外観と街との親和性など、空間全体の意匠の面でも評価できる。
キッズデザイン賞・受賞理由:
自営業やフリーランスの家庭は入園の優先順位が低くなりやすく、こうした層にコワーキングスペースを解放しつつ、保育園に通えるような構造を創出している。インテリアを含め、空間の作り方が丁寧で非常に良い。子どもの居場所の環境としても、快適性、利便性に重点を置いており、子育て支援の良質なモデルである。
キッズデザイン賞・キッズデザイン協議会会長賞受賞
用途:コワーキングスペース、保育園
所在地:東京都足立区
主体構造:鉄骨造
延床面積:192.64m2
設計期間:2019年2月~2019年4月
工事期間:2019年3月~2019年7月
Use: Coworking Office, Nursery school
Location: Adachi-ku, Tokyo
Structure: Steel
Total floor area: 192.64sqm
Design period: 2/2019 - 4/2019
Construction period: 3/2019 - 7/2019